ホーム

プレス

ニュース

被災地視察の様子 -カタールフレンド基金の関係者らが支援プロジェクトを視察

実際に現地に足を運んで、各プロジェクトを自分の目で見て感じることは、全く別の体験です。カタール
フレンド基金の関係者が、4月中旬に東北地方を訪れ、各プロジェクトを視察しました。

視察ツアーの大きな目的は、1)既に支援を開始しているプロジェクトの現況の確認、2)6月に支援を決定した候補プロジェクトの現地視察、3)今後支援の必要のあるプロジェクトの発掘です。 ツアーには、この視察のために来日したカタール外務省の職員のほか、駐日カタール大使館職員、そしてカタールフレンド基金のコンサルティングチームが同行しました。 3日間の日程で、東京を出発後、福島、宮城、岩手の3県、合計5プロジェクト(6施設)を訪問し、地域や自治体の方々とお会いし、現場の声をヒアリングしました。

まず初めに認定NPO法人 難民を助ける会(AAR Japan)によるプロジェクトの支援対象施設の一つである“社会福祉法人 青葉学園”を訪れました。こちらの施設には、カタールフレンド基金の資金援助により、特別な支援を必要とする子供たちの施設に遊具を設置しました。福島県福島市の児童養護施設 青葉学園は1946年に第二次世界大戦の戦争孤児のための支援施設として設立され、現在は2歳~18歳までの孤児もしくは虐待を受けた子供たち52人が暮らしています。周辺地域は福島の原発事故により大きな被害を受け、子供たちは放射能汚染のため屋外で遊ぶことが出来ず、大変辛い時間を過ごしました。カタールフレンド基金の関係者は、施設を実際に自分の目でより詳しく見学することができたこと、さらに新設された遊具を使って遊ぶ子供たちの笑顔と出会うことができ、訪問を非常に喜んでいました。

次に一行は、わたり福祉会が運営する“児童デイサービスさくら”を訪れました。この施設は障害のある子供たちの支援を行っており、カタールフレンド基金は同施設の屋内遊具設置のための援助を行いました。訪問中には、子供たちが新しい遊具を使って元気いっぱいに、満面の笑顔で遊んでいる様子を見ることができ、また施設の代表者の方から感謝状がカタール大使館の二等書記官ハッサン・アルへマイディ氏(Mr. Hassan Al‐Hemaidi)に手渡されました。

次に、エコノミークラス症候群予防検診と生活不活性病対策の運動指導を含む健康管理プログラムを行うために、カタールフレンド基金から助成を受けている“盛岡市立病院”を訪れました。このプロジェクトは、多くの方が仮設住宅にお住まいの地域を車で巡回し、仮設住宅の住民、特にお年寄りや体の弱い方に無償で検診を行うもので、4,000人以上の方々にこのサービスを受けて頂くことができる予定です。

院長代理、職員の方々、そしてAAR Japanの担当者の方々は、カタールフレンド基金の一行を温かく出迎えてくださり、エコノミークラス症候群を診断するための血液検査や超音波を利用した検査など、実際に現場で行われる一連の検査のデモンストレーションを行ってくださいました。この巡回訪問検診では、弾性ストッキング*も無償で配布し、必要な方には着用指導も行う予定です。すでに巡回訪問のスケジュールが出来上がっており、陸前高田市、釜石市、大槌町、大船渡市、そして宮古市 田野畑村を順に訪問する予定です。
*弾性ストッキングとは、普通のストッキングとは違い、 足を圧迫するための特殊な編み方でつくられた医療用ストッキングです。下肢静脈の血液還流を促進する働きがあります。

2日目、一行は盛岡市からマイクロバスに乗り、起伏のある山道を3時間近く走って、岩手県釜石市に到着しました。釜石市は岩手県の三陸リアス式海岸沿いの太平洋に突き出した部分に位置する歴史のある街で、鉄鋼業、ラグビー、そしてもちろん水産業で有名です。しかし、悲しいことに2011年の大津波で水産業は壊滅的な被害を受けました。一行は、カタールフレンド基金の支援を受けた“釜石・大槌地域産業育成センター”を訪れ、地域の方々の声を聴きました。

(地元の漁協組合の代表者の方のコメント)
「震災後、漁師から魚を買い付ける水産加工工場の多くが津波の被害をうけ、業績が大きく落ち込みました。震災後初めて地元漁師から魚を買ってくださったのが、釜石・大槌地域産業育成センターでした。地元の水産業の復興に大きく貢献していただき、大変感謝しています」。

(釜石・大槌地域産業育成センター従業員のコメント)
「私は震災後、職も家も失いましたが、今はこの会社で職を得ることができ、やっと生活が元に戻ってきています。このような機会を与えて下さったカタールフレンド基金の関係者の皆様には心から感謝しています」。
苦労されたのちに得た、働く場所がある生活を本当に喜ばれていることが、その場にいた一行のメンバーたちの心にも十分に伝わりました。

工場の見学を終えると、一行は次の訪問先である、震災で壊滅的な被害を受けた陸前高田市に移動しました。その後、気仙沼の市庁舎にも訪れ、気仙沼市長にお会いし、復興計画の進捗について説明を受け、また今後カタールフレンド基金が支援する必要のあるプロジェクトのアイディアなどについて、ディスカッションを行いました。

3日目は、宮城県の県庁所在地で、東北地方最大の都市である仙台を訪れました。仙台は人口に比べ大学の数が多いので、「学園都市」としても知られています。カタールフレンド基金の支援を受けたプロジェクトが実施される、東北大学をまず見学しました。東北大学は世界でもトップ100位(出典:QS世界大学ランキング2012-2013年度版)に入る名門大学で、今回のプロジェクトのためにすでに大学院の工学科の施設の一部を改装し、「カタールフレンド基金ホール」を設置する工事が順調に進んでいました。

プロジェクトの具体的な内容は、建設中のカタールフレンド基金ホールで、被災地の子供たちのために科学教室を開催する予定です。このプロジェクトを通じて、地域の子供たちのイノベーションの力を引出し、ひいては東北地方のエンジニアや研究者たちの新しい世代を生み出す確かな基盤を作っていきます。東北大学の工学部は光学技術とコンピューターサイエンスの分野で、すでに世界23位(出典:2012年世界大学学術ランキング)という上位にランクインしています。

東北大学の教授の方々とお会いした際には、彼らのモノづくりやクリエイティブなデザイン設計、製造業への熱意がひしひしと伝わってきました。

東北大学を後にした一行は仙台市の市庁舎に向かい、経済局長と職員にお会いしました。市庁舎の職員の方からはいくつかプロジェクトを提案していただき、カタールフレンド基金側からも今後仙台市で実施する計画のプロジェクトについての現況を報告しました。このプロジェクトとは、“カタール・東北・イノベータ―・プラットホーム(QTIP)”という、将来の起業家及び企業内事業家のための支援とトレーニングを行うもので、QTIPの東北センターは市東部の、仙台市が推進するクリエイティブ・クラスター・ゾーン内への設置を予定しています。

一行は、桜が満開のシーズンを迎えた福島県白河市を最後に訪れました。福島県の最も南に位置し、「みちのくの玄関口」として知られる白河市は、64,000人の人々が暮らしています。震災後は、福島県の他の地域から放射能を逃れて避難してきた1,700人の人々を受け入れており、桜並木を歩いていくと、その方々の住む仮設住宅が目に入りました。

近々カタールフレンド基金の助成によって、震災直後には重要な避難所となっていた運動施設の改修が行われる予定です。白河市長の提案で始まった同プロジェクトは、新しいスポーツスタジアム、施設そして遊具とともに地域を再び活性化することを目指しています。完成すれば、年間約10万人の人々の利用を見込んでおり、周辺地域のあらゆる世代の人々が集まり、運動を楽しむ市民の中心的な施設となるでしょう。

3日間全行程、視察を終えて、カタールフレンド基金を通じて築かれた東北地方の方々とのご縁と信頼の絆に感謝するとともに、今後さらに中・長期的な視点から、どのような支援が東北に求められているのか、改めて考える機会となりました。
 

 

< Back